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梅雨を迎える前に知りたい!防災用非常食の備蓄方法と保管術をご紹介!

これから梅雨を迎え、夏本番、台風シーズンと、湿気の多い時期が続きます。 日本は災害の多い国であると同時に、これからは高温多湿になることから、食品の保管には特に注意が必要です。

災害時の備えとして保管している非常食は比較的賞味期限が長く、長期保存に向いているものが多いですが、その分普段は使用しません。いざという時に「気が付いたら非常食が傷んでいた!」なんてことは避けたいものです。

今回は、特に災害時のための食品の備蓄方法と、湿気対策の保管術をご紹介します。

農林水産省のすすめる備蓄方法「ローリングストック」とは?

農林水産省が食品の家庭備蓄をすすめる主旨で作成している『災害時に備えた食品ストックガイド』では、「ローリングストック」という備蓄方法が紹介されています。

ローリングストックとは、「普段から食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限順に消費する。消費した分をまた買い足すことで、常に一定量の家庭備蓄が保たれる。」というものです。

この方法で定期的にサイクルを回すことで、備蓄した食品が傷む前に消費することができます。

また、農林水産省がローリングストックを推奨する理由としては、非常食とは別枠で日常食品の備蓄を維持できる点があります。

なぜ非常食とは別枠で日常食品の備蓄が推奨されるのか

災害時のライフライン復旧までは1週間以上を要するケースが多くみられ、災害支援物資の到着までの期間や物流機能の停止も含めて「最低3日分~1週間分×人数分」の食品の家庭備蓄が望ましいとされています。

加えて食品の家庭備蓄では、被災時でも、バランスのとれたおいしい食事をバラエティ豊かにとれるようにすることが大切です。そうすることで、心細く不安な状況の中でも前向きに、心に余裕をもって活動するエネルギーを得ることができます。

今は長期保存に向いた缶詰などの食品も多く開発されていますが、それでも長期保存向けの非常食だけで1~2週間分の献立を作るのはとても大変です。

そこで、備蓄食品を「主に災害時に使用する”非常食”」と「日常使用し、災害時にも使用できる”日常食品”」の2つの分類でバランスよく備えることが推奨されます。そして”日常食品”の備蓄方法として紹介されるのが、「ローリングストック」です。

日常食品の買い置きは、この記事を読まなくても「普段からそうしている」というご家庭もあるかも知れません。この記事で初めて「ローリングストック」を知った方も、まずは「最低3日分×家族の人数分」をイメージして、実践してみてはいかがでしょう。

参考:農林水産省『災害時に備えた食品ストックガイド』(2020年5月19日現在)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html

備蓄食品の保存には、乾燥剤を活用!

ローリングストックを活用して日常食品も家庭備蓄を維持できました。ただ、長期保存を主旨とした非常食に比べて、やはり日常食品の保管には気を使います。もちろん賞味期限順に消費するものの、できれば長持ちさせたいですね。

備蓄方法に続く保管術のヒントとして、梅雨の食品保管に役立つ乾燥剤をご紹介します。

シリカゲル

メジャーな乾燥剤として売られているシリカゲルですが、実は「A型」「B型」の2種類が存在します。それぞれの主な違いは以下の通りです。   

A型シリカゲル

低湿度化でもぐんぐん水分を吸います。

半面、吸った水分を自然に放湿できないため、密閉空間での使用が推奨されます。

B型シリカゲル

高湿度化で水分を吸収しますが、低湿度化では湿気を放出します。

そのため、A型と比較し吸水力は低いものの、湿度を一定に保つ「調湿力」は高いと言えます。

上記により、乾燥状態で保存したい食品は、A型シリカゲルと共に密閉できる容器に保管することが一般的なようです。

生石灰 / 珪藻土

生石灰

シリカゲルが自重の50%程度の湿気を吸えるのと比べて、生石灰は自重の30%程度を吸湿します。また吸水の際に熱を発し、吸湿後は消石灰に変質するため、再利用はできません。海苔などの放熱の影響を受けづらい食品の乾燥剤として使用されることがあります。

珪藻土

シリカゲルのような化学的吸水では無く、小さな無数の穴から水分を吸い、また放出も行います。調湿性の高さから建材やバスマットとして使われています。

食品保管に有効な乾燥剤は、100円ショップやホームセンター、ドラッグストアなど、様々な場所で手軽に購入することができます。乾燥剤の種類ごとの得手不得手を理解して、より効果的に利用できるといいですね。

冷暗所に保管!冷暗所とはどこを指すか?

保管術の最後に、保管場所についてご説明します。

保存のきく食品には、ラベルの「保存方法」に「冷暗所にて保存」と書かれていることがあります。この冷暗所とは、どのような場所が該当するのでしょうか。

実は、「冷暗所」という言葉の定義について、具体的に温度や明るさなどの基準を明示した決まりはありません。参考にできるものとして、薬事法において”冷所は、別に規定するもののほか、1~15℃の場所とする”と規定されています。この「冷所」の規定をもとにすると、「温度が1~15℃に保たれた、暗い(=直射日光の当たらない)場所」と考えることができます。

温度管理と合わせて気を付けたいのが、湿度管理です。今回のように特に食品の保管場所として冷暗所を用いる場合、温度・湿度の変化により食品が傷むことも避けたいところです。「直射日光が当たらず、風通しがよく、温度と湿度が低く保たれている場所」が理想的と言えるでしょう。

ご家庭の中で一般的に「冷暗所」として用いられている場所を3つご紹介します。

床下収納

直射日光が当たらず、外気による温度変化にさらされない場所として、代表的な冷暗所と言えます。ただし、マンションなどの場合は床下収納が備わっていない場合も多いでしょう。

また、風通しが良いとは言えないため、先ほどご紹介した除湿剤や乾燥剤を合わせて用いるなどの工夫が推奨されます。

冷蔵庫

直射日光が当たらず、低温で安定した保管場所として、冷蔵庫が挙げられます。

一方、冷蔵庫での保管が推奨される商品の保管場所は、通常「要冷蔵」と記載されます。冷蔵庫内で食品を保管する場合、低温障害などでかえって食品が傷まないよう注意が必要です。

シンクまわりの収納棚

アパートやマンションにも備わっており、冷蔵庫ほど低温にならない保管場所として、シンクまわりの収納棚が考えられます。床下収納や冷蔵庫ほど低温で安定はしませんが、直射日光を避けることができます。

シンクまわりということもあり、湿度は上がりやすい傾向にあるため、収納棚を保管場所に選ぶ場合も、乾燥剤・除湿剤の併用など、工夫して利用してください。

床下収納、冷蔵庫、シンクまわりの収納棚、いずれを利用する場合も、保管する食品に応じて乾燥剤などを併用しながら適切な温度・湿度になるよう管理する工夫が有効です。

まとめ

地震はもちろんのこと、台風、大雪、感染症の拡大など、いざ災害が発生した際は、必要な食品が手に入りづらいことが考えられます。

ローリングストックによる、非常食と日常食のバランスのいい備蓄。

備蓄した食品を適切な温度・湿度で保管するための乾燥剤の使用と適切な保管場所の選択。

以上をご理解いただき、もしもの際にもご家族みんながおいしい食事を楽しめるよう、できるところから準備されることをおすすめいたします。

また、地震の窓口では、具体的に備蓄が推奨される食材・道具も以前の記事で紹介しています。食品の家庭備蓄を実施される際は是非合わせて参照の上、お役立ていただければ幸いです。

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