緊急事態宣言は解除されたものの、第2波への懸念もあり、新型コロナウィルスの脅威はいまだ収まっていません。
そんな中、SNS上では「最近、地震多くない?」「また地震が起きた」など不安が広がっています。
気象庁の震度データベースで検索すると、5月1日~22日までの間に、震度3以上の地震は26回発生しています。 確かに、1~3月に比べると4月以降の発生は多めではあるものの、過去数年と比較すると今年だけが 格段に多いわけではありません。 (気象庁 震度データベース検索より)
とはいえ、いずれ発生すると言われている「南海トラフ地震」「首都直下地震」など、大地震の発生を事前に知ることができれば、的確な備えをすることが可能になりますが、地震の予知や前兆について、巷で言われる様々なものを具体的にご紹介していきます。
そもそも地震予知は可能なのか?
地震の予知とは、「地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測すること」とされています。
予知も含めた地震の研究を進めている公的機関は、東京大学地震研究所や防災科学技術研究所など、複数存在します。
また、個人が独自の手法を用いて予知を行い、SNS上での発信、更には会員を募っているものもあります。
一方で気象庁は、「現在の科学的知見からは確度の高い地震予測は難しい」としています。
気象庁ホームページ 「地震予知について」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq24.html
地震の前兆といわれているもの
地震の前兆とされる言い伝えは、古いものでは江戸時代に書かれた書物にも記載があるといいます。
科学的には関連性が実証されていないものの、前兆ではないか?といわれているものをまとめました。
地震雲
地震雲といわれるものは、いくつかあります。
- 断層型 一面に広がっている雲のエリアと青空が、あるラインを境にくっきりと分かれるような雲
- 筋状 帯状 地面と平行に細長く伸びる雲
- 放射状 ある一点から四方八方に広がった雲 など
日本では、昔から雲の形や動き、風の向きや強さから天気を予想することが行われていたため、この説は定着しやすかったとも考えられます。
地震雲発生メカニズムについて典型的な仮説としては、地震が発生する前、震源地周辺から発生する電磁波が、雲の生成に影響を与えるというものです。
地鳴り
東日本大震災後の2011年4月11日に福島県いわき市を襲った震度6弱の直下型余震では、 多くの住民が地鳴りを感じていたといいます。
揺れと地鳴りは3月11日の本震以降に多くの住民が感じていた。―中略―
市田人支所には4月11日以前に住民から地鳴りなどの相談があり、不安があれば支所などに避難するよう呼び掛けていた。しかし、職員の1人は「当時は原発事故の影響で混乱していた。原因を探るまでは手が回らなかった」と明かす。
「爆発音のような地鳴りや突き上げるような揺れが続いている」。田人町の西に隣接する古殿町役場にも住民から情報が寄せられていた。町は福島地方気象台に連絡し、「いわき市西部の山間地で直下型地震が頻発している」と回答を受けた。町は問い合わせがあった住民には事実を知らせたが、防災無線などで積極的には広報しなかった。町職員は「大地震を予知できない以上、不安をあおるだけ」と判断していた。
(福島民報 【いわき巨大余震】本震後も地鳴り、揺れ 住民情報生かせず)
https://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/10/post_2208.html
火山の噴火
地震と火山活動の関連を示す事例は多々あります。 例えば平安時代の大地震(869年の貞観三陸地震,878年の元慶関東地震,887年の仁和関西地震)前の864から864年には富士山が大噴火をしています。ただ逆のパターンもあり、1700年代の大地震(1703年の江戸地震,1707年の東海・南海地震)の際は、その直後の1707年年末に富士山が噴火しています。
環太平洋火山帯では、これまで地震が多く発生しており、何らかの繋がりはあると予測されるものの、 他の前兆と同様、「火山Aが噴火したので、B地域で大地震が発生する」と言えるまでは地球科学は発達していないようです。
電磁気異常
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災では、その数週間前から「ラジオからノイズ音が聞こえた」「携帯電話の動作異常があった」等の報告が、地震発生後に多数あったといいます。
発光現象
YouTubeなどの動画サイトでは、2008年四川大地震や2011年のクライストチャーチ大地震の前に撮影されたとされる発光現象がたくさん投稿されています。 また、アメリカの研究チームは、この現象の原因を解明したとの研究結果を出しています。
参考:NATIONAL GEOGRAPHIC「地震前の謎の発光現象、ついに解明か?」https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141217/428688/
動物の異常行動
動物達は、人間よりも優れた感覚を持っています。
イヌは人間の100万倍以上の嗅覚を持ち、またイヌ・ネコの耳は人間には聞こえない超音波の領域まで聞き取ることができるといわれています。 そのため私たち人間では感じ取ることができない変化を本能的に察知し、いつもとは違う行動を起こすことも考えられます。
- これまで報告されているものは
- 家から出たがる、または外に出たがらない
- いつも以上に地面のにおいを嗅ぐ
- 吠え方がいつもと異なる
- 震える・落ち着きをなくす
- などが見られるようです。
- イヌネコ以外でも、
- 海から川にイワシの大群が遡上する
- 町からカラスがいなくなる
- ミミズが大量発生する
- など、様々な例が挙げられています。
深海魚が水面に出てくる
深海魚の中でも、特に「リュウグウノツカイ」が見つかり、地震が来るのか?という記事を読まれたことがある方も多いかと思います。
この言い伝えは古くからよく知られているものですが、2019年に東海大学海洋研究所と静岡県立大学のグループが、「迷信で根拠がない」と断定する調査結果を発表し話題になりました。
参考:FNNプライムオンライン 「深海魚の出現は地震の前兆」は“迷信”と断定…そのウラには地道な情報収集があった」https://www.fnn.jp/articles/-/10033
まとめ
今回紹介した前兆現象以外にも、ネット上では様々なケースが挙げられています。
現時点で科学的根拠がないものでも、先人からの言い伝えには、もしかしたら真実が眠っているかもしれません。