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首都直下型地震はいつ起こる?気にしておくべき点と対策のポイント

日本は地震大国ですが、いつどこで大きな地震が発生するかは予測がつきません。昨今懸念されている大地震の1つに首都直下型の大地震があります。

これまでの大きな地震災害を受け、国も様々な対策や啓蒙活動を行っています。しかし、地震の発生自体を防げるわけではありませんので、不安を解消することは難しいでしょう。

実際は、どの程度の発生リスクがあるのでしょうか?

ここでは、首都直下型地震が発生する可能性と、今からできる備えについて紹介します。

30年以内に大地震が起こる可能性は70%って本当?

日本は阪神・淡路大震災を契機に、地震防災対策への取り組みを本格化しています。震災を通して浮き彫りになった課題を踏まえて、平成7年6月に『地震防災対策特別措置法』を制定し、さらに政府機関『地震調査研究推進本部』が設置されました。

地震調査研究推進本部の主な活動は、地震の発生確率を長期的に評価することです。公式サイト内では、主要断層ごとの地震発生確率を評価・公開しています。

また、予測評価だけではなく、過去にあった大きな地震もまとめられています。たとえば、相模トラフで起こったマグニチュード8クラスの巨大地震は以下の3件です。

・1293年:永仁地震

・1703年:元禄地震

・1923年:大正地震(関東大震災)

1703年の元禄地震から関東大震災までの開きは、およそ220年。そこから現在まで、まだ100年弱しか経っていません。よって、「近い将来に同タイプの地震が発生する可能性は低い」と結論付けられています。

ただし、マグニチュード8クラスの巨大地震のほかに、マグニチュード7クラスの地震も多数発生していることも考慮すべきという声もあります。地震調査研究推進本部地震調査委員会で実施した評価においては、「今後30年以内に、南関東でマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は70%」と推定しており、これはきわめて高い値といえます。

また、地震調査研究推進本部の調査によりますと、南海トラフでマグニチュード8~9の巨大地震が今後30年で起きる確率も70~80%とされており、関東以外にお住まいの方でも安心は出来ません。

南海トラフ地震に関する詳細な情報は、以下の記事をご参照ください。

過去に起きた地震の被害

過去、関東圏では大きな地震が何度も発生しています。被害が大きな地震もありましたが、そのたびに人々は協力し合い、現在では世界に誇る大規模な都市が形成されているのです。

過去に関東圏で発生した大きな地震について、詳しく見ていきましょう。

1703年 元禄地震

元禄地震は、1703年11月23日の未明に発生した地震で、規模はマグニチュード7.9〜8.2と推定されています。家屋の全壊被害が22,424軒、死者数は10,367名と、被害規模も甚大なものでした。

この地震では津波も同時に発生しており、津波が「被害を拡大させた」という見方もあります。発生後は復興と同時にさらなる発展をとげ、葦の生い茂る湿地帯が開拓されました。大規模な埋め立て工事や堤防工事が行われ、多くの人々が埋め立てられた隅田川の東側に住むようになったのです。

1855年 安政江戸地震

安政江戸地震は、1855年11月11日に関東平野を中心として広範囲にわたって発生した地震です。

江戸市中の死者は約10,000名。大名屋敷は116家(266家中)で死者があったそうです。町人地では家屋が約14,000軒倒壊するなど、大きな被害が発生しました。

首都直下型地震が起きると、首都圏はどうなる?

過去に起きた地震からは、多くを学ぶことができます。ここでは近年発生した大地震を振り返り、実際にあった被害の内容について解説します。

阪神・淡路大震災における被害は?

1996年の阪神・淡路大震災では、死者約6,400名、負傷者は43,000名以上にのぼる被害をもたらしました。港湾埠頭の沈下、山陽新幹線高架橋の倒壊・落橋がありました。ほかにも電車が止まり、道路が通行止めになるなど、交通機能は著しく低下。救助や消火活動はもちろん、物資の輸送にも大きな影響を及ぼしました。

ライフラインでは、約130万戸の断水、約260万戸の停電、約86万戸のガス供給停止が発生。固定電話は設備障害が約30万件、家屋の倒壊やケーブルの焼失による障害が約19万件にのぼりました。当時はまだ携帯電話が普及していない時代なので、連絡手段を失った人が後を絶ちませんでした。

また、河川には堤防の沈下や亀裂などの被害が多数あり、西宮市の仁川百合野町では地すべりによる犠牲者が34名出ています。農林水産業関係の被害では、農地やため池なども甚大な被害が発生し、その被害総額は約900億円にのぼりました。

東日本大震災における被害は?

東日本大震災では東北地方から関東地方の広い範囲において、東向きの地殻変動が発生しました。地面の沈降なども確認されていて、地形が変わってしまうほどの大規模地震であったことがうかがえます。

岩手・宮城・福島県を中心とした太平洋沿岸部には、巨大津波が襲来。これにより、青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉の6県62市町村で合計561平方キロメートルもの範囲が浸水しました。死者・行方不明者の合計は25,000名以上で、この数字は関東大震災に次ぐものです。

ライフラインの被害は、地震発生直後で停電が約850万戸、都市ガスは供給停止戸数約46万戸、水道は約160万戸、下水処理施設は最大被災施設数120施設となっています。固定電話は不通が約100万回線、携帯電話基地局の停波局数は12,000基地局にも及びました。

鉄道や道路の被害も多数発生し、阪神・淡路大震災と同様に交通機能は大きく麻痺しました。首都圏においては帰宅困難者が数多く発生。建物や人的被害がなくても、自宅に帰れない人が続出しました。政府試算では、この地震による被害総額は16兆~25兆円にのぼると推定されています。

首都圏で想定される被害は?

今後発生が予測されている首都直下型地震ですが、実際にマグニチュード7クラスの大規模な地震が首都圏で発生した場合、どのような被害が出るおそれがあるのでしょうか。

内閣府の試算では、死者は最大で23,000名、家屋の全壊や焼失は61万戸にのぼる見通しとなっています。津波の発生も想定されていて、広い範囲に被害が及ぶとみられています。避難者数は約339万名、帰宅困難者は約517万名も出ると予測されています。また、「内閣府防災情報のページ」によるとライフラインの面では以下のような被害が想定されています。

(1)電力:発災直後は約5割の地域で停電。1週間以上不安定な状況が続く。

(2)通信:固定電話・携帯電話とも、輻輳のため、9割の通話規制が1日以上継続。メールは遅配が生じる可能性。

(3)上下水道:都区部で約5割が断水。約1割で下水道の使用ができない。

(4)交通:地下鉄は1週間、私鉄・在来線は1か月程度、開通までに時間を要する可能性。

 主要路線の道路啓開には、少なくとも1~2日を要し、その後、緊急交通路として使用。

 都区部の一般道はガレキによる狭小、放置車両等の発生で深刻な交通麻痺が発生。

(5)港湾:非耐震岸壁では、多くの施設で機能が確保できなくなり、復旧には数か月を要する。

(6)燃料:油槽所・製油所において備蓄はあるものの、タンクローリーの不足、深刻な交通渋滞等により、非常用発電用の重油を含め、軽油、ガソリン等の消費者への供給が困難となる。

内閣府:内閣府防災情報のページ「インフラ・ライフライン等の被害と様相」より抜粋

http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html

首都直下型地震に向けて、今からできること

首都直下型地震が発生すると人的被害はもちろん、生活インフラ全般が寸断されかねません。また、食料や日用品も交通インフラの麻痺によって流通が滞り手に入りづらくなり、さらに生活支援物資の配給を待たなければならない状況も想定されます。

これらに備えて今できることは、大きく2つあります。1つ目は住んでいる地域の避難場所を確認しておくことです。大きな地震が発生したとき、避難場所がわからないようでは安全に逃げることは当然できません。あらかじめしっかりと確認して、家族でも認識をすり合わせておくようにしましょう。

2つ目は防災バッグの準備です。中身は医療用品やラジオなどのほか、水と非常食を数日分用意しておきます。備蓄の目安は3日分です。飲料水は1人1日3リットル必要となりますので、9リットルを人数分用意しておきましょう。非常水と非常食にはそれぞれ賞味期限があるので、使用しない場合は消費して買い替える必要があります。

また、電気が寸断された場合に備えて、家庭内では非常用ライトをすぐ使える場所に置いておきましょう。電池の補充ができるとは限らないので、電池式よりも手回し式のものがおすすめです。

最後に、地震保険への加入有無もチェックしておきましょう。火災保険だけでは地震による被害は補償されません。地震による被害が発生したとき、地震保険は大きな支えとなってくれるでしょう。

地震保険に関する詳細な情報は、以下の記事をご参照ください。

まとめ

首都直下型地震は、高い確率で発生するといわれています。しかし、正確な発生の時期は誰にもわかりません。なので、いつ起きても慌てなくていいように準備しておくことが何よりも大切です。常に災害が発生する可能性があることを念頭において、日々生活を送るようにしましょう。

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