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今さら聞けない、地震の基本情報【震度とマグニチュード】

このサイトでもたびたび登場する「震度」「マグニチュード」という言葉、正しく理解できていますか?

「なんとなく、数字が大きいほど被害も大きいのかな、と思っているけれど。。。」

実は、マグニチュードが小さい地震でも大きな被害が発生することもあるのです!

今回は、地震について知るうえで避けて通れない基本情報として、震度とは、マグニチュードとは、簡単にわかりやすくご案内いたします!

震度とは?マグニチュードとは?それぞれどう違う?

震度、マグニチュードそれぞれを一言で簡単に説明すると、以下の通りになります。

震度

特定の場所における地震の揺れの強さを表す数値

マグニチュード

地震そのものの大きさ(規模)を表す数値

これだけでは「結局、規模が大きければ揺れも大きいだろうから、2つの指標は同じことを言っているんじゃないの?」と感じますね。

2つの指標の違いを詳しく説明する前に、まずはそれぞれの指標の意味をもう少しわかりやすく解説します。

震度は「ここがどれだけ揺れたか」の指標!

震度は、震度観測点に設置された震度計の内部でデジタル処理が行われ、計算されています。この観測点は、気象庁・地方公共団体・防災科学技術研究所が設置したものをすべて合算すると、全国で4,375箇所もの地点に設置されています。(2021年1月現在)

地震情報などにより発表される震度の階級は、この観測点における揺れの強さを数値化し、震度階級に換算することで評価されています。

つまり、震度とは「それぞれの観測点ごとに、その場所でどれだけの揺れが観測されたか」という指標です。1つの地震でも、観測点の地盤の固さなどの要因により、その揺れ方は様々です。震度は観測点ごとに様々な数値が計測されるため、過去の大地震を評価する際は「最大震度」という言葉で表されます。

震度はこのように1つの地震でも観測点ごとにバラバラの数値が出る指標ですが、その地点でどれだけ揺れたかを表すことは、その地点における被害の大きさをわかりやすく示していると言えます。

マグニチュードは地震が発するエネルギーの指標!

前述のとおり、マグニチュードは、地震そのものの大きさ(規模)を表します。「地震そのもの大きさ」とは、地震による被害規模の大きさではなく、「地震自体のエネルギーの大きさ」と言い換えることができます。

【地震の起こる仕組み】でご紹介した通り、地震の原因は、プレートが動くことで生じる力です。簡単に言うとこのとき、「より大きな力が生じること=エネルギーの大きな地震が発生する」と言えます。

(【地震の起こる仕組み】に関する情報はこちらをご覧ください↓)

この通り、マグニチュードは発生した地震において生じた力=エネルギーの大きさを示すため、1つの地震において示される数値は1つです。

なお測定・算出方法によってマグニチュードには数種類の表し方があり、マグニチュードの種類によって数値も変動しますが、ここではマグニチュードの種類については割愛します。原則、マグニチュードは地震自体の力の大きさを示しており、1つの地震に数値は1つとお考えください。

震度とマグニチュードの関係は、太鼓の音でイメージしてみましょう

2つの指標の違いを、太鼓の音に例えてみます。

以下は、太鼓をたたいた音を聞いている図です。太鼓を大きい音でたたいても、遠くで聞けば音は小さく聞こえます。一方、それほど大きくたたかなくても、近くで聞けば音は大きく聞こえますよね。

太鼓から出た音の大きさ(=マグニチュード)が同じでも、聞こえた太鼓の音の大きさ(=震度)は距離などの要因で変動します。

震度とマグニチュードの違いは、簡単に表すとこの「太鼓から出た音の大きさ=マグニチュード」「立っている地点で聞こえた太鼓の音の大きさ=震度」と言い換えることができます。

太鼓と音の関係を震度とマグニチュードになおすと、このようになります。

このように、マグニチュードの大きい地震であっても観測点における震度は小さく、被害が広がらないケースもあれば、マグニチュードが小さくても震源の付近で観測される震度は大きくなるケースがあります。特に震源が浅い地震は地表への影響が大きいとされ、マグニチュードが小さい地震でも油断できません。

なお、実際の地震の揺れは、断層のずれ方、地盤や地震波の伝わり方等の要因で変動するため、震源から遠いほど一様に震度が小さくなるものではないのでご注意ください。

震度とマグニチュードの数値と実際の被害の関係

ここまで、震度とマグニチュードそれぞれの指標の意味と、それぞれの違いをご紹介しました。では、数値がどの程度だと、実際に感じる揺れ、発生する被害はどれほどになるのでしょうか。

日本で使用されている気象庁震度階級では、震度0から1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7までの10段階が設定されており、それぞれ以下のような目安で表現されます。

震度階級人の体感・行動
人は揺れを感じないが、地震計には記録される。
屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。
屋内で静かにしている人の大半が揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。
屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。歩いている人の中には揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が目を覚ます。
ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが揺れを感じる。眠っている人のほとんどが目を覚ます。
5弱大半の人が恐怖をおぼえ、物につかまりたいと感じる。
5強大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
6弱立っていることが困難になる。
6強~7立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにはほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。

また、マグニチュードでは7以上の地震を「大地震」とし、なかでも8クラスを「巨大地震」としています。

以下は、過去日本で実際に発生した大地震の最大震度とマグニチュードです。それぞれの発生した年代などにより防災対策の程度が異なる他、地域の人口などにもよって被害規模はまちまちになりますが、実際の地震におけるマグニチュードと震度の目安として参照ください。

平成19年新潟県中越沖地震

2007年7月16日 マグニチュード6.8 最大震度6強 死者数15名 負傷者数2,346名

平成23年東日本大震災

2011年3月11日 マグニチュード9.0 最大震度7 死者数19,729名 行方不明者2,559名、負傷者6,233名

平成28年熊本地震

2016年4月14日 マグニチュード7.3 最大震度7 死者数273名 負傷者数2,809名

平成30年北海道胆振東部地震

2018年9月6日 マグニチュード6.7 最大震度7 死者数43名 負傷者数782名

※気象庁<日本付近で発生した主な地震被害(平成8年以降)>より

東日本大震災における、より詳細な家屋等への被害も含むデータは以下記事を参照ください。

指標を防災に生かしましょう

現在、発災が確実視されている「首都直下地震」「南海トラフ地震」の想定マグニチュードと震度は以下の通りです。

首都直下地震

マグニチュード7程度、東京都の江戸川区・江東区で震度7、東京・千葉・埼玉・神奈川の4都県では震度6強

南海トラフ地震

マグニチュード8~9クラス 静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7、隣接する周辺広域で震度6~6強

上記は、該当地域において複数の震源が想定されるため、どの震源で発生するかによって実際の数値は異なってきますが、いずれも大きな被害が想定されることに違いはありません。

震度、マグニチュードについて理解を深めると、これから私たちが対策しなければいけない巨大地震の姿が、よりはっきりと見えてきたことと思います。

敵を知り、己を知れば百戦危うからず。防災アクションを実施しつつ、地震に関する知識も備えて対策を深めていきましょう。

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