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緊急地震速報の誤報はなぜ起こる?正確さはどのくらい?

緊急地震速報は、震源近くにある地震計で観測したデータを素早く分析し、各地域における地震の到達時刻や震度を予想して私たちに素早く知らせています。事前に大きな揺れが来ることが分かれば、料理中であれば火を止めたり、危険な場所から離れたりできるため、とても便利な仕組みですね。

そんな誰もが知っている緊急地震速報ですが、最近「誤報」が速報として流れ、気象庁が謝罪をしたニュースが話題になりました。みなさんも、記憶に新しいニュースではないでしょうか。

午前9時半すぎの緊急地震速報は「誤報」 気象庁が陳謝 | 気象 | NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200730/k10012540561000.html

この記事では、緊急地震速報の誤報と精度について、検証していきたいと思います。

誤報はなぜ起きた?

始めに言及している誤報が発生したのは、7月30日の午前9時半ごろ、房総半島何方沖を震源とする地震があり、関東甲信越や東海、福島県で震度4から震度5強程度の揺れが予測されるとしました。

突然鳴り響く警報音は、とてもびっくりしますよね。警報音についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。

しかし、結果として私たちが感じるほどの揺れは観測されず、気象庁は「誤報」だったと後ほど発表しました。

原因は、地震の震源の位置を実際に発生した場所と大きく異なり、本州に近い場所と推定してしまったことでした。

それでは、なぜこのようなことが発生してしまったのでしょうか?

実は、ほぼ同時間に、2つの地震が観測されていました。最初の地震が9時3分ごろ、伊豆諸島・房総半島沖の地震観測網が小さな地震波を観測しました。その後、9時38分、この震源から遠く離れた小笠原諸島母島で、大きな地震波が観測されます。

システムは震源を、最初の地震の震源地である「房総半島南方沖」のままで、あとから発生した地震の規模を推定したため、実際に私たちのもとに伝わる揺れの大きさを誤ってしまったのです。

正確さはどのくらい?

誤報は、関東甲信、東海、新潟県、福島県と対象が広範囲に及んだため、JR東日本など公共交通機関は一時運転を見合わせるなど、大きな影響がありました。都内を走る都営大江戸線では、全ての電車が自動で緊急停止し、約1時間半にわたりストップしました。

駅間に停車した電車もあり、床に座り込む人もいたとのことですので、実際に乗り合わせていたら、この誤報は少し迷惑に感じても仕方ありません。

この件だけ見ると、次回の緊急地震速報に対して、少し疑わしく思ってしまう方もいるのではないでしょうか。

しかし、緊急地震速報は、2007年に本運用が開始されてから計226回発表されており、そのうち揺れを観測しなかったという誤報は実は3回しかないのです。

誤報を避けるためとして、国内1690か所の観測点のうち、2か所以上で観測された場合にのみ発表するなど工夫がされています。

緊急地震速報は、地震大国である日本が、世界で初めて開発・導入している仕組みです。

最近ではこの技術が世界的にも注目され始めており、「巨大地震が突然やってくるかもしれない」という恐怖から、少しでも身構える時間を確保できるようにした最新技術は、さすがですね。

まとめ

今回の「誤報」に関連して、気象庁は以下の通りコメントを発表しています。

「わずかな時間で地震の位置や規模を判断する必要があり、今後も海域で起きる地震で同じようなことが起きる可能性があるが、真摯(しんし)に改善策を考えたい。ただ、緊急地震速報が発表されているときは、地震が起きていると判断して身を守る行動をとってもらいたい」

緊急地震速報は、私たちの身を守ってくれる仕組みです。「100%大きな地震が発生する」とは断言できませんが、対策にやりすぎはありませんので、誤報かもと疑うことなく、適切な行動を取っていきたいですね。

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