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【日本の建物】耐震基準と地震の歴史

地震大国日本では、住宅を建てる際に「地震に強いこと」を求める傾向が強く、また、これまでの大きな震災から得た教訓を元に、都度法律の改正が行われました。

中国メディアの「今日頭条」では、日常的に発生する地震程度では日本の家屋はびくともしないことと、その理由を考察する記事が掲載されたこともあり、日本の耐震技術の高さへの注目がうかがえます。

<エキサイトニュース 地震でも倒壊しない日本の建物、地震がなくても倒壊する中国の建物=中国報道 2020年5月30日>

https://www.excite.co.jp/news/article/Searchina_20200530013/

今回は、日本の耐震基準と、その沿革を「地震の歴史」の観点から調べてみました。

免震や耐震の違いとは?

現在、住宅の地震対策としては、大きく分けて「耐震」「制震」「免震」の3つの工法があります。それぞれ構造だけでなく、効果やかかるコストも異なります。それぞれを見ていきましょう。

免震—揺れを「伝えない・受け流す」

  • <方法>
  • 建物と地盤の間に免震装置を設置します。
  • <具体的には>
  • 建物を地盤から離すことで、地震の揺れを直接伝えません。
  • <メリット>
  • 揺れを7~8割カットできるといわれており、家具の転倒や転んでケガをするといった二次被害が起こりにくくなります。
  • <デメリット>
  • 建築コストが他のものと比べてかかります。また、一部では台風や津波には強くない、垂直 方向の揺れには弱いという意見もあります。

制震—揺れを「吸収する」

  • <方法>
  • 建物に錘(オモリ)やダンパーなどの「制震部材」を組み込みます。
  • <具体的には>
  • 「制震部材」によって、地震の揺れが伝わりにくくなります。
  • <メリット>
  • 特に高さのある建物に効果的です。また、繰り返しの揺れにも強いといわれており、上記の「免震」よりもコストがかかりません。
  • < デメリット>
  • 一般住宅のリフォーム用も販売されているようですが、基本的にはビルなども高い建物に対 して効果を発揮しやすくなっています

耐震—揺れに「耐える」

  • <方法>
  • 建物自体を頑丈に作り、強度を上げます。
  • <具体的には>
  • 柱や梁を太く大きくしたり、壁を強固にすることで地震による倒壊を防ぎます。現在日本の法律では、全ての建物について一定の耐震強度が求められていますので、一般的な住宅に多く採用されている工法です。
  • <メリット>
  • リフォームでこの耐震強度を高めることができ、免震等に比べてコストがかかりません。
  • <デメリット>
  • 建物自体の倒壊を防ぐことが一番の目的ですので、揺れ自体を軽減することはできません。したがって家具倒壊への備えが必要になります。また、繰り返しの地震によってダメージが蓄積すると、倒壊する可能性もあります。

日本の耐震基準の歴史

これまで何度も大きな地震に襲われてきた日本。大きな地震が起こるたびにデータを集めて研究し、建築基準を変更してきたことがわかります。大まかな歴史をたどってみましょう。

明治・大正時代

▼明治24年(1891年)10月濃尾地震(M8.4)が発生・・・これより、耐震構造への本格的な研究がスタート。

■大正8年(1919年)日本で初めての建築法規「市街地建築物法」が制定

▼大正12年(1923年)9月1日 関東大震災(M7.9)が発生・・・木造だけでなく、欧米輸入のレンガ造建物の倒壊被害が続出。

■翌大正13年(1924年)市街地建築物法に「耐震規定」制定 (世界初の耐震規定)

昭和時代

昭和初期においては、戦前研究がなされていたことは分かっているものの、戦中は地震発生の公表は当時されていませんでした。また、終戦直後の社会的混乱によりこのころの地震が生かされることは困難でありました。

▼昭和18年(1943年)9月 鳥取地震(M7.4)が発生

▼昭和19年(1944年)12月 東南海地震(M8.0)が発生

▼昭和20年(1945年)1月 三河地震(M7.1)が発生

▼昭和21年(1946年)12月 南海地震(M8.1)が発生

▼ 昭和23年(1948年)6月 福井地震(M7.3)が発生

■翌々年昭和25年(1950年)「建築基準法」制定。これに伴い、先の「市街地建築物法」は廃止。

▼ 昭和53年(1978年)6月 宮城県沖地震(M7.4)が発生。・・・時代と共に建物の構造が変わっていく中、この地震で鉄筋コンクリートに被害が生じ、のちの改正に影響を与える。

■昭和56年(1981年)「建築基準法」が大はばに改正。

平成時代

▼ 平成7年(1995年)1月 阪神淡路大震災(M7.2)が発生…近代都市を襲った大地震。木造家屋(老巧家屋)の倒壊による死者多数。新耐震設計法で設計された建物の被害は少なかったものの、

震度7レベルが計測された地域では、新耐震基準の建物でも大破・倒壊も多く発生。

■同年 建築基準法改正

■平成12年(2000年)建築基準法改正

まとめ

時代の移り変わりと共に、木造住宅だけでなく、鉄筋コンクリート住宅や高層ビルも建てられるようになり、発生する被害や想定すべき点も変わっていきます。 コロナによる新しい生活様式の中で、都会に縛られない生活を考える人も増えていると言われています。 どこに住むか?どのように生活するか?に加えて、地震のためにどのような住居にするかも考えるべきかもしれません。

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